ここでは、ページ内の行動をイベントとしてKARTEに送信し、「ゴール」として接客サービスの効果測定に利用する方法を説明します。
接客サービスの効果測定とは
KARTEでは、ユーザーに何らかの行動を促すための接客サービスを配信することができます。そして、実際に配信した接客サービスがユーザーの行動を変えたのかどうか、効果検証をすることができます。
たとえば、ECサイトでの商品購入を促すためのポップアップを配信したとします。そのとき、実際にそのポップアップが「ユーザーに商品を購入してもらうのにどのくらい寄与したのか」を数値で確認することができます。

ゴールイベントとは
ただし、「ユーザーが商品を購入した」などのユーザー行動をKARTEに連携しなければ、KARTE上で効果測定をすることは当然できません。KARTEにユーザー行動を連携するためには、イベントを発生させる必要がありました。
参考: イベントの設定
KARTEでは、特にユーザーに取って欲しい行動を「ゴール」と呼びます。接客サービスの多くは、ユーザーに何らかのゴールを達成してもらうために配信されます。
中でも、サイトの中で最も重要なゴールを「最終ゴール」、その最終ゴールに至るまでのステップとして考えられるゴールを「中間ゴール」と呼びます。たとえばECであれば、「購入」が最終ゴール、「カート追加」や「お気に入り登録」などが中間ゴールになります。
一般に、最終ゴールだけをユーザーに訴求し続けても、顧客体験を損ねてしまうことが多いです。特にまだサイトの利用に慣れていないユーザーに対しては、最終ゴールではなく中間ゴールを促す接客がまずは重要です。

最終ゴールの多くはフォーム送信を伴うため、フォーム送信後の「Thanksページの閲覧」をフィルターイベント機能の条件に指定することで、ゴールしたことを検知できます。一方、中間ゴールの中には、「お気に入りボタンのクリック」などページ内の行動を元に判断するしかないものがあります。
この記事では、ページ内の行動をイベントとしてKARTEに送信し、ゴールとして利用する方法を説明します。
サイトのゴールを定義する
まず最初に、自分たちのサイトの最終ゴールと中間ゴールについて改めて考えてみましょう。あなたは、サイトに来ているユーザーにどんな行動を取って欲しいでしょうか?
たとえば最終ゴールと中間ゴールの設計については、業界別に次のような例が考えられます。
| 業界 | 最終ゴール(例) | 中間ゴール(例) | 
|---|---|---|
| EC | 購入 | カート追加、お気に入り登録、商品詳細ページ閲覧 | 
| 不動産 | 来場予約、資料請求 | お気に入り登録、物件詳細ページ閲覧 | 
| 金融 | 申込み、資料請求、相談予約 | 見積もり、商品詳細ページ閲覧 | 
| 人材 | 応募 | 応募フォーム閲覧、お気に入り登録 | 
| SaaS | アップセル、クロスセル | 特定機能の利用、オプション詳細ページの閲覧 | 
[TODO] ゴールを定義する
- 最終ゴールと、それに至るまでの間で「ユーザーにどんな行動を取って欲しいか」(中間ゴール)を表に書き出してみましょう
- 洗い出したそれぞれのゴールについて、「特定のページを閲覧した」という条件だけで検知できるかを考えて、表に追記します
- 特定ページの閲覧だけでは検知できないゴールについて、どのような行動を捉えれば検知できるようになるかを考えて、表に追記します- この記事では、「ボタンクリック」と「スクロール」の2つの行動についてのみ説明します
 
アウトプット例は次の通りです。
| 種類 | ゴール | ページ閲覧による検知 | 捉えるべき行動 | 
|---|---|---|---|
| 最終ゴール | 購入 | できる | |
| 中間ゴール | カート追加 | できない | ボタンクリック | 
| 中間ゴール | お気に入り登録 | できない | ボタンクリック | 
| 中間ゴール | キャンペーンページ閲覧 | できる | |
| 中間ゴール | 記事コンテンツの閲覧 | できる | |
| 中間ゴール | 記事コンテンツの読了 | できない | スクロール | 
ゴールをイベントとして取得する
ここからは、実際にゴールをKARTEにイベントとして送信してみます。ゴールがたくさんある場合は、いくつか選んで取得してみましょう。
「特定ページの閲覧」によって検知できるゴールを取得
ユーザーが特定のページを見たことをゴールとみなすことができる場合は、「フィルターイベント機能」を使ってKARTE管理画面上からゴールを取得する設定が可能です。
参考: フィルターイベント
[TODO] フィルターイベント機能によるゴールの設定
- イベントの設定 > フィルターイベントの内容を復習します
- KARTE管理画面の左のメニューから、[顧客を知る > イベント]を選択します
- 左サイドバーの[作成したイベント > イベントを作成 > フィルターイベント]を選択します
- フィルターイベントの設定をします- [フィルターの設定]- イベントの発生条件を指定します
- 例: キャンペーンページ閲覧- 閲覧 閲覧ページのパス /campaign/ を含む(部分一致)
 
 
- [イベント名]- ゴールにしたいイベントを表す名称を半角英数とアンダースコアで入力します
- 例: キャンペーンページ閲覧- view_campaign_page
 
 
- [表示名]- 管理上わかりやすいイベント表示名を日本語等で入力します
- 例: キャンペーンページ閲覧- キャンペーンページ閲覧
 
 
- [ストーリー画面に表示する]- ユーザーストーリー画面で確認したいので、チェックを付けます
 
- [ゴールイベントに設定する]- ゴールイベントとして利用するので、チェックを付けます
 
 
- [フィルターの設定]

- 右上の[保存]ボタンを押します
※ フィルターイベントの詳細な設定方法については、こちらをご覧ください
- 実際にそのページを閲覧して、設定したイベントが自分に対して発生することを確認します- 「自分を探す」機能を使って自分自身のユーザー詳細画面を開き、そこからイベントの発生を確認します
 
スクリプト配信で「特定ページの閲覧」によっては検知できないゴールを取得
ページの閲覧だけではなくページ内行動も踏まえてゴールとみなす必要がある場合でも、ほとんどの場合、KARTEではそれを検知することができます。そのためには、基本的には追加のタグをJavaScriptで実装する必要があります。しかしながらKARTEでは、追加の実装をしなくてもユーザーのページ内行動をイベントとして取得できるような仕組みが提供されています。
Googleタグマネージャーでタグを配信するように、KARTEからKARTEのトラッキング用のタグ(JavaScript)を配信することで、ユーザーの行動をKARTE上の設定だけでトラッキングできるようになります。スクリプトの配信には、接客サービス配信の仕組みを利用します。(スクリプト実行の多くはエンドユーザーの目に見えませんが、ユーザーを知ることも「接客」の重要なプロセスというわけです)さらに、KARTEでよく使われるタグについては、スクリプト配信テンプレートとして提供されています。テンプレートを使うことで、JavaScriptの知識がなくてもGUIで設定をするだけで利用することができます。
ここでは、KARTEのスクリプト配信テンプレートを使ってサイト上の「ボタンクリック」や「スクロール」を検知しイベント送信する方法についてご紹介します。
ボタンクリックをイベントとして取得する設定
[TODO] 「ボタンクリック」をイベントとして送信するための接客サービスを作成する
- 接客サービスを新規作成します- 接客サービス名などは「〇〇イベント取得スクリプト」などと入力します
 
- [アクションを追加]からテンプレートを選びます- [やりたいことから探す > スクリプトを実行する]を選びます
- スクリプト配信テンプレートの一覧を確認します
- 左上の「テンプレートで検索」と書かれた検索バーに「クリック」と入力し、テンプレートを絞り込みます
- 「指定要素(リンク以外)をクリックした際に任意の属性値をイベント送信」というテンプレートを選択します- (クリックを検知したい要素が外部サイトへのリンクの場合、代わりに「ページ上のリンククリック時にイベント送信」というテンプレートを選んでください)
 
 

- アクションの編集画面を開きます- [要素のCSSセレクタ]- クリックを計測したい要素を特定するためのCSSセレクタを入力します- CSSセレクタとは、ページ上の要素を特定するための住所みたいなものです
- CSSセレクタの取得方法については、お近くのエンジニアの方に聞いていただくか、こちらの記事をご覧ください
 
 
- クリックを計測したい要素を特定するためのCSSセレクタを入力します
- [送信する要素の属性名]- 中身を消して空にします- 今回はHTML要素の属性を取得する必要はないので不要です
 
 
- 中身を消して空にします
- [送信するイベント名]- ゴールにしたいイベントを表す名称を半角英数やアンダースコアで入力します
- 例: お気に入りボタンクリック- favorite
 
 
- アクションを保存します
 
- [要素のCSSセレクタ]

- 接客サービスの配信設定を続けます- アクションの[配信率]を100%にします- 配信するアクションはユーザーには見えないので、「未実施時」への配信率の振り分けは不要です
 
- [対象ユーザー]- [条件]- 全員
 
- [セグメント]- 次に該当する テストセグメント
- ここでは、念のためテストセグメントを指定しておきます
 
 
- [条件]
- [対象イベント]- [配信トリガー]- 行動を計測したい全てのページを指定します
- よくわからない場合は、こちらをご覧ください
 
 
- [配信トリガー]
- [スケジュール]- デフォルト設定のままでOK
 
- [オプション]- [同時配信]- OK
 
 
- [同時配信]
 
- アクションの[配信率]を100%にします
- 設定を確認し、問題なければ接客サービスを公開します
スクロールをイベントとして取得する設定
「スクロール」によってページの読了などを検知したい場合は、アクションの設定を次のようにしてください。その他の接客サービス配信設定は、上述した「ボタンクリックをイベントとして取得する設定」と同様です。
- 接客サービスを新規作成します
- [アクションを追加]からテンプレートを選びます- 左上の「テンプレートで検索」と書かれた検索バーに「ページ読了」と入力し、テンプレートを絞り込みます
- 「ページ読了イベント取得スクリプト」というテンプレートを選択します
 

- アクションの編集画面を開きます- [送信するイベント名]- ゴールにしたいイベントを表す名称を半角英数とアンダースコアで入力します
- 例: 記事コンテンツ読了- finish_reading_magazine
 
 
- [最低スクロール率(%)]- ページの何%までスクロールしたらイベント発生させるかを指定します
 
- [最低滞在時間(秒)]- イベント発生のために最低でも何秒以上ページに滞在している必要があるかを指定します
- ページを読み込んですぐに下までスクロールしたユーザーに対してイベントを発生させたくない場合に指定してください
 
 
- [送信するイベント名]

スクリプト配信によるイベント発生の確認と全体配信設定
スクリプトを配信する接客サービスの設定が終わったら、実際に自分自身が検知したい行動を取ってみて、ちゃんとイベントが発生するかどうかを確認します。
[TODO] スクリプト配信接客サービスでイベントが取得できるか確認
- サイトをブラウザで開きます- スクリプト配信接客サービスの配信対象ページに遷移します
- テストセグメントに入るため、URLの最後に #testを付けてページを再読み込みします
- 実際に、「ボタンクリック」や「スクロール」なゴール用のイベントが発生する行動をとってみます
- サイトの挙動に問題が無いことを確認します
 
- KARTEの管理画面上で、「自分を探す」機能を使って自分自身のユーザー詳細画面を開きます- スクリプト配信アクションで指定したイベント名に一致するイベントが発生していることを確認します
 

これで、ゴールに使うイベントを発生させるための設定が問題ないことを確認できました。最後に、テストセグメントに絞って配信していた接客サービスを、全ユーザーに配信します。
[TODO] スクリプト配信接客サービスを全ユーザーに配信する
- 本記事で作成した接客サービスの編集画面を開きます- [対象ユーザー > セグメント]に指定していた「テストセグメント」を条件から外します
- 接客サービスを[公開中のまま保存]します
 
なお、ゴール用に計測したいイベントが複数ある場合、ここまでの設定や確認作業はイベントの数だけ繰り返し実施してください。
ゴールイベントの発生を確認する
イベント計測用の接客サービスを全ユーザーに配信して少し経ったら、きちんとイベントが計測されているかどうかも確認してみましょう。
[TODO] イベントが妥当な件数発生していることを確認する
- KARTE管理画面の左のメニューから、[顧客を知る > イベント]を選択します
- イベント画面で、設定したイベントが発生していることを確認します- 左上の「イベント名で検索する」と書かれた検索バーに、今回作成したイベント名を入力します
- 左サイドバーから、今回作成したイベントを選択します
- [計測回数]というタブを開きます- 右上のタイムスパンを[リアルタイム]にします
- 直近数時間以内にイベントが発生したユーザーの一覧が表示されます
 
 

接客サービスでの利用
取得したゴールイベントは、接客サービス編集画面から各接客サービスにゴールとして設定できるようになります。接客サービスの効果を測定したい場合は、必ずゴールを設定するようにしてください。

